コーヒーや紅茶、エナジードリンク…。私たちの日常生活に欠かせない飲み物の多くに含まれている「カフェイン」。眠気覚ましや集中力アップのために、日頃から摂取している方も多いのではないでしょうか。
しかし、この身近な成分が、私たちの健康や体調に様々な影響を与えていることをご存知でしょうか?今回は、カフェインの基本的な働きから、健康へのメリットとデメリット、そして注意すべき摂取量について、詳しく解説します。
カフェインの正体と主な働き
カフェインは、コーヒー豆や茶葉、カカオ豆などに天然に含まれるアルカロイドの一種です。体内に取り込まれると、以下のような働きをします。
- 覚醒作用(眠気防止): 脳の中枢神経を刺激し、眠気を引き起こす「アデノシン」という物質の働きをブロックします。これにより、眠気が覚め、集中力や注意力が向上する効果が期待できます。
- 利尿作用: 腎臓の働きを促し、体内の余分な水分を尿として排出する作用があります。これにより、むくみの解消にもつながります。
- 鎮痛作用: 血管を収縮させる働きがあるため、偏頭痛の痛みを和らげる効果も期待できます。市販の鎮痛剤にも、カフェインが配合されているものがあります。

カフェインが健康に与えるメリット
適量であれば、カフェインは私たちの健康に良い影響を与えます。
- 集中力・記憶力の向上: 脳の働きを活発にし、仕事や勉強の効率を高めます。
- 運動能力の向上: 筋肉の収縮を促し、疲労感を軽減するため、運動パフォーマンスを高める効果があると言われています。
- 抗酸化作用: カフェインには抗酸化作用があり、細胞の老化や慢性疾患のリスクを減少させる可能性があります。
過剰摂取による健康へのデメリット
一方で、カフェインを過剰に摂取すると、体に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
- 中枢神経系への影響: めまい、心拍数の増加(動悸)、興奮、不安、震え、不眠症などを引き起こすことがあります。
- 消化器系への影響: 胃酸の分泌を促進するため、胃もたれや吐き気、下痢を引き起こすことがあります。
- 脱水症状: 強い利尿作用により、気づかないうちに脱水状態になることがあります。
- 依存性: 繰り返し摂取することで依存性が生じ、摂取を急にやめると、頭痛やだるさなどの離脱症状が現れることがあります。
適切な摂取量と注意すべきこと
国際機関や各国のガイドラインによると、健康な成人の1日のカフェイン摂取量の目安は400mgまでとされています。これは、コーヒーならマグカップ約3杯分に相当します。
- 妊娠中・授乳中の女性: 胎児の発育に影響を与える可能性があるため、摂取量を1日200〜300mgまでとするのが一般的です。
- 子供: カナダ保健省によると、体重1kgあたり2.5mg/日までが目安とされています。
- エナジードリンク: 1本にコーヒー数杯分のカフェインが含まれていることがあります。他の飲料と併用すると過剰摂取になりやすいため注意が必要です。
- アルコールとの併用: カフェインはアルコールの酔いを隠す作用があり、アルコールを飲みすぎてしまう可能性があります。また、どちらも利尿作用があるため、脱水状態になりやすいので注意しましょう。
カフェインを摂取して体調不良にならないための5つのポイント
眠気覚ましや集中力アップのために、日々の生活に欠かせないカフェイン。
しかし、摂取の仕方によっては、動悸、胃の不調、不眠といった体調不良を引き起こすことがあります。
ここでは、カフェインを上手に摂取し、体調不良を予防するための5つのポイントをご紹介します。
1. 適切な摂取量を守る
最も重要なのは、1日のカフェイン摂取量を守ることです。健康な成人の1日の摂取量の目安は400mgまでとされています。
- 飲料のカフェイン量を把握する: 自分が日頃飲んでいる飲み物に含まれるカフェイン量を把握しておきましょう。
- コーヒー(ドリップ)1杯(約150ml):約90mg
- 紅茶1杯(約150ml):約30mg
- 煎茶1杯(約150ml):約30mg
- エナジードリンク1本(約250ml):約80mg〜150mg
- カフェインは飲料だけではない: チョコレートや風邪薬などにもカフェインが含まれていることがあります。成分表示を確認する習慣をつけましょう。
2. 空腹時の摂取を避ける
空腹時にカフェインを摂取すると、胃酸が過剰に分泌され、胃痛や吐き気につながることがあります。
- 食事と一緒に摂る: カフェインを摂取する際は、朝食や昼食など、何か食べ物と一緒に摂るように心がけましょう。
- ミルクや豆乳を加える: ミルクや豆乳を加えてカフェインを薄めることで、胃への刺激を和らげることができます。
3. 睡眠の質を確保する
カフェインには覚醒作用があるため、摂取する時間帯に注意が必要です。
- 就寝前の摂取を避ける: 睡眠の質を確保するため、就寝の4時間〜6時間前からはカフェインの摂取を控えるようにしましょう。
- デカフェ・ノンカフェイン飲料を活用する: 夕食後や夜に温かい飲み物を飲みたいときは、デカフェ(カフェイン除去)やノンカフェインのコーヒーや紅茶、ハーブティーなどを選びましょう。
4. 水分補給を怠らない
カフェインには利尿作用があります。
- こまめな水分補給: コーヒーなどを飲んだ後は、水やお茶を意識的に摂り、脱水状態にならないように注意しましょう。
- 水と一緒に飲む: コーヒーを飲む際に、水も一緒に飲むように習慣づけるのも良い方法です。
5. 自分の体の声を聞く
カフェインへの反応は個人差が大きいです。
- 少量から試す: カフェインをあまり摂らない方は、まずは少量から試して、自分の体に合うかどうか確認しましょう。
- 不調を感じたら量を減らす: もし動悸や不眠、胃の不快感を感じたら、カフェインの摂取量を減らしたり、一時的にやめてみたりしましょう。
これらのポイントを実践することで、カフェインのメリットを最大限に活かし、体調不良を予防することができます。
まとめ
カフェインは、上手に付き合えば私たちの生活を豊かにしてくれる成分です。しかし、体質や健康状態、摂取量によっては、体に悪影響を及ぼす可能性もあります。
ご自身の体の声に耳を傾け、適切な量を守って摂取することで、カフェインのメリットを最大限に活かし、健やかな毎日を送りましょう。
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