3月は、寒さの残る冬から暖かくなる春へと季節が移り変わる時期であり、体調を崩しやすい「ゆらぎの季節」とも言えます。気温や気圧の変動、花粉の飛散、生活環境の変化などが重なることで、心身に様々な不調が現れやすくなります。
ここでは、3月に起こりやすい主な不調と、それぞれの詳しい改善策について分析してご説明します。
Contents
3月に起こりやすい不調とその原因
1. アレルギー症状(花粉症、目のかゆみ、肌荒れなど)
- 原因:
- 花粉の飛散: スギ花粉のピーク時期であり、ヒノキ花粉も飛び始めます。花粉症の方は、鼻水、くしゃみ、目のかゆみ、喉のイガイガなどの症状が顕著になります。
- 黄砂・PM2.5: 大陸からの飛来物が増え、花粉と複合的にアレルギー症状や呼吸器症状を悪化させます。
- 気温・湿度の変化: 寒暖差が激しくなることで、肌のバリア機能が低下しやすく、アレルゲンが侵入しやすくなります。
2. 自律神経の乱れ
- 原因:
- 気圧・気温の変化: 春は低気圧と高気圧が頻繁に入れ替わり、気圧の変化が大きくなります。また、日ごとの気温差も激しく、体温調節が難しくなります。これらの変動が自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを崩しやすい原因となります。
- 環境の変化: 年度末や年度初めを控え、仕事や学業、人間関係などで環境の変化が起こりやすく、精神的なストレスが増加します。
- 日照時間の変化: 冬に比べて日照時間が長くなりますが、まだ不安定なため、体内時計が乱れやすくなります。
3. 肌トラブル(乾燥、敏感、ニキビ、たるみ悪化など)
- 原因:
- バリア機能の低下: 冬の乾燥を引きずっている状態に加え、花粉、黄砂、PM2.5、そして急な紫外線量の増加といった外的刺激により、肌のバリア機能が低下します。
- 乾燥: 気温は上がっても空気はまだ乾燥していることが多く、肌の水分が奪われやすい状態が続きます。
- 皮脂分泌の変化: 気温が上がるとともに皮脂分泌も活発になりますが、肌内部は乾燥している「インナードライ」状態になりやすく、べたつきと肌荒れが同時に起こることがあります。
4. メンタル面の不調(だるさ、イライラ、不眠、うつ症状など)
- 原因:
- 自律神経の乱れ: 体のだるさや倦怠感、集中力の低下、めまい、頭痛など、不定愁訴として現れることがあります。
- セロトニン不足: 日照時間の不安定さや不規則な生活により、心の安定に関わる神経伝達物質セロトニンの分泌が不安定になりやすいです。
- 新生活へのストレス: 新しい環境への適応や人間関係の変化に対する期待と不安が入り混じり、精神的な負担が増大します。

3月に起こる不調の改善策と予防策
これらの不調に対しては、体の内側と外側から、そして生活習慣全体を見直す多角的なアプローチが重要です。
1. アレルギー症状への対策
- 外出時の徹底防御:
- マスク: 花粉・PM2.5対応の不織布マスクを、顔にフィットさせて着用します。
- メガネ・サングラス: 目への花粉・黄砂の侵入を防ぎます。フード付きがより効果的です。
- 衣類: 花粉が付着しにくいツルツルした素材(ポリエステルなど)を選び、肌の露出を減らします。
- 花粉ブロックミスト: 外出前に顔や髪にスプレーすることで、付着を物理的に防ぐ効果が期待できます。
- 帰宅後の徹底除去:
- 玄関で払い落とす: 家に入る前に、服や髪に付着した花粉・黄砂をブラシや手でしっかり払い落とします。
- 手洗い・うがい・洗顔・洗眼: 帰宅後すぐに、付着したアレルゲンを洗い流します。防腐剤の入っていない人工涙液での洗眼がおすすめです。
- 鼻うがい: 鼻の奥に入り込んだ花粉を洗い流すのに有効です。市販のキットを使用し、生理食塩水で行いましょう。
- 入浴・シャワー: 全身に付着したアレルゲンを洗い流しましょう。
- 室内環境の整備:
- 換気: 花粉・黄砂の飛散が多い時間帯(昼前後)を避け、窓を少しだけ開けて短時間で行います。
- 空気清浄機: HEPAフィルター搭載で花粉・PM2.5に対応したものを24時間稼働させます。
- 洗濯物・布団: 花粉・黄砂飛散時は部屋干しを徹底します。
- こまめな掃除: 濡れ拭きで、床や家具に落ちたアレルゲンを拭き取ります。
- 医療機関での早期治療:
- 症状が本格化する前に、耳鼻咽喉科や眼科を受診し、医師の指示に従って初期療法を開始することで、症状の悪化を抑えられます。

2. 自律神経の乱れ対策
- 規則正しい生活リズム:
- 起床・就寝時間を一定にする: 休日も大きく崩さず、体内時計を整えましょう。
- 朝の光を浴びる: 起床後すぐにカーテンを開け、朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、セロトニン分泌も促進されます。
- 入浴で体を温める:
- 38~40℃のぬるめのお湯に20分程度ゆっくり浸かることで、副交感神経が優位になり、リラックス効果が高まります。就寝1~2時間前の入浴が理想的です。
- 適度な運動:
- ウォーキングや軽いジョギングなど、有酸素運動は自律神経のバランスを整え、ストレス解消にもつながります。
- ヨガやストレッチも、深い呼吸を促し、心身をリラックスさせる効果があります。
- アロマやハーブ:
- ラベンダーやカモミールなど、リラックス効果のあるアロマオイルを焚いたり、ハーブティーを飲んだりするのも良いでしょう。
3. 肌トラブルへの対策
- 徹底した保湿ケア:
- セラミド、ヒアルロン酸、アミノ酸、グリセリンなど、肌のバリア機能をサポートする成分や高保湿成分が配合された化粧水、美容液、乳液、クリームを重ね付けし、潤いを逃がさないようにします。
- 乾燥がひどい場合は、ワセリンやシアバターなど、肌表面に保護膜を作る効果の高いアイテムを部分的に取り入れましょう。
- 日中も乾燥を感じたら、ミスト化粧水などでこまめに保湿を。
- 摩擦レススキンケア:
- クレンジングや洗顔、スキンケアの塗布時、タオルで顔を拭く際も、肌をこすらないことを徹底します。指の腹で優しく、泡やテクスチャーで肌を包み込むようにケアしましょう。
- 低刺激性アイテムの使用:
- 敏感肌用やアルコールフリー、無香料・無着色、パラベンフリーと表示された、肌に優しい処方のアイテムを選びましょう。
- 新しいアイテムを試す際は、必ずパッチテストを行ってから使用しましょう。
- 紫外線対策の強化:
- SPF30/PA+++以上の日焼け止めを毎日欠かさず使用します。敏感肌用やノンケミカル処方(紫外線吸収剤フリー)のものがおすすめです。
- 帽子や日傘など、物理的な遮光も併用しましょう。
- スペシャルケア:
- 週に1~2回、低刺激性で保湿力や鎮静効果の高いシートマスクで集中ケアを取り入れると良いでしょう。
4. メンタル面の不調への対策
- バランスの取れた食事:
- セロトニンの材料となるトリプトファン(乳製品、大豆製品、肉類、バナナなど)や、その生成を助けるビタミンB6(魚、肉、バナナなど)を積極的に摂取しましょう。
- 腸内環境を整えることで、セロトニンの分泌をサポートするとも言われています。発酵食品や食物繊維を意識して摂りましょう。
- 適度な運動:
- 特に太陽光の下での運動は、セロトニンの分泌を促進し、心の安定に役立ちます。
- 気分転換とリラックス:
- 趣味の時間を持つ、好きな音楽を聴く、温かい飲み物を飲む、入浴する、瞑想するなど、自分に合ったリラックス方法を見つけましょう。
- デジタルデバイスから離れる時間を作ることも大切です。

- コミュニケーション:
- 信頼できる友人や家族と話すことで、ストレスを軽減できることがあります。
- 医療機関への相談:
- だるさや気分の落ち込みが長く続く、睡眠障害があるなど、症状が重い場合は、心療内科や精神科への相談も検討しましょう。我慢せずに専門家のサポートを受けることが大切です。
3月は体が環境の変化に適応しようと頑張る時期です。無理をせず、自分の心と体の声に耳を傾け、ご紹介した対策を少しずつでも取り入れていくことが、不調を和らげ、健やかに過ごすための鍵となります。
コメント